・山水画の完成まで・
鑑賞にはならないかもしれませんが、私の山水画の描く順を紹介します。
紙は二層玉版宣紙の全紙です。

全体の構想を十分に練り、頭の中でイメージを完成させてから筆を持ちます。
まずは松です。「孤松」と題する以外は、必ず数本を描きます。
前後の松の空間が大切です。

人物を描きます。この作品のテーマは日が暮れて文人が、家へ帰るところです。
童子が後ろから琴を抱えて付いてきてます。
少し急ぎながらも、童子を気遣っているように描きました。

橋を描きます。順番が逆のように思われるでしょう、
人物にあわせて橋を描いたほうが、バランス良く描けます。

橋の周りの風景を描きます。つまり近景から描き始めるということです。

家を描きます。この作品では自宅です。
もちろん主はまだ帰っていないので、人はいません。
けっして華美な家ではありませんが、文人趣味に満ちた空間を描きます。

ずいぶん充実してきました。川の流れ、幅に注意します。
流れの音が大切だからです。この段階ではまだ遠景は全くありません。

遠景です。険しい山を描くのか、なだらかな丘を描くのか、
それとも今回のように、大きな湖を置き、その向こうに山をえがくのか。
全く自由な選択です。心の奥底にある、理想の情景を引き出します。

人物の詳細を仕上げます。

家の中にもしつらえを添えます。もちろん煎茶器も描き加えます。
渡り廊下の向こうは梅の古木です。ごらんのように葉は散り、秋深まっています。
大きな山水画ですが、小さなところからも季節が窺い知れます。

質素な門を潜ると、正面にある家の2階が主の文房です。
左のテラスのある家は客人をもてなしたり、のんびり読書も良いでしょう。
時にはテラスから釣り糸を垂らす事さえあります。
右上には竹薮が見えています。主の決まった散歩道はこの竹藪です。

遠くの湖に迫り出した丘からは滝が流れ落ちています。
昨日は雨だったのでしょう。水量は充分です。

判り辛いですが、遠くに船が2隻見えます。
どちらも漁船ですが、向こうの船は家路をいそいでるようです。
手前の船は、不漁なのでしょうか。まだ頑張っているように見えます。

完成です。
途中、あまりに夢中になりすぎて、写すのを忘れていました。
詳細に紹介はできませんでしたが、このような思いと手順で山水画は描かれます。
後は、画題を書き、落款を添え印を押して出来上がりです。
この作品は、10月の個展で披露させていただく予定です。
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