十竹齎箋譜
十竹齎箋譜とは明代末に、南京の胡正言十竹齎により刊行された箋譜で、
中国の版画史上頂点を極めた彩色版画集です。
箋譜とは、詩箋に描かれた図案集と言えば良いでしょう。
詳細についてはここでは省略しますが、全4巻で、内容は花鳥、山水、人物、古器、文房具・・・
さまざまなモチーフが描かれてはいますが、それらには俗なものはなく、色彩やデザインに品格があり、
明代の文人趣味が手に取るよう判ります。
この十竹齎箋譜は、出版されてからすでに350年以上も経ち、大変貴重なものとなっています。
その後、文学者である鄭振鐸と魯迅が、中国木版の技術が失われつつあることに嘆き、
これらの技術保存、再生を望み、1934年に復刻されました。
ここで取り上げた写真は、家蔵版で1952年に北京栄宝齎で重刻されたものです。

江戸期以降、着物や帯びの柄にもこの図案を見ることがあります。
木版とは思えない繊細な線と色彩です。
螺虎

酔芙蓉と金木犀。凹凸によっても表現されている。

唐代に「茶経」を著した、陸羽。 宋代の梅を愛した隠棲詩人、林和靖。
山水画の水の波は、凹凸だけで表現されている。
これらの図案は江戸期以降、日本のあらゆる分野に多くの影響を与えました。
そして今でも文房で、書架よりこの本を取り出し、なんとなく項をめくる私がいます。
窓から差し込む光が画を浮かべ、しばらく見入ってしまいます。
江南ののどかな文人の暮らしに思いを馳せながら・・・
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