・第五十一回全国煎茶道大会美風流献茶香語・

平成十八年五月に黄檗山萬福寺に於いて、十九年に一度の献茶をさせていただきました。
その法要の最初に、仙石泰山管長猊下が香語を読み上げられます。
この日の私の献茶に対しての香語、つまり七言絶句の漢詩です。
たいへん有り難いことで、数日後に和して同じく七言絶句をお返しいたしました。
和するとは、同じ韻のグループの字で押韻して詩を作り、連なることを言います。

黄檗では開山である隠元禅師の頃から、頻繁に詩を和し、多くの僧侶たちが連なりました。
多いときには30人を超える時もあります。
しかし現在ではこの習慣は全く無くなり、詩作できる僧侶もほとんどいません。寂しいことです。
隠元禅師はじめ当時の渡来僧は、僧侶であり文人でもありました。
余技として描いた水墨画や、漢詩、暮らしぶりに本物の文人趣味を見ることができます。

第五十一回全国煎茶道大会美風流献茶香語

焚香黙座煮茶烟
方外高遊慕古賢
一味風流伝妙旨
悠々自得檗☆辺
   黄檗泰山拝艸

和 仙石泰山猊下香語

細雨幽松籠淡烟
微風幡影謝塵縁
三師拝礼拈茶壺
独座月台開霽天
   中谷美風謹呈正之

細雨 幽松 淡烟を籠み
微風 幡影 塵縁を謝す
三師に拝礼し、茶壺を拈じ
独座す月台 開霽の天
        仄起下平声一先韻

☆は、山へんに喬です。
※三師・・・初祖、開祖、売茶翁。

萬福寺の境内は細やかな雨に、松もかすみ、茶を煮る煙を包みこみ、
微かな風は、境内の茶旗や堂内の播の影を揺らし、塵に汚れた外界を遮断しています。
この境内で献茶式を執り行うに、まず三師に感謝の気持ちを込めて拝礼しして、茶を淹れ始めました。
すると先ほどまでの雨はピタリと止み、本堂前の月台上で一人茶を淹れている私に、雲開き陽光が降り注ぎはじめました。


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