・推敲・
「推敲」の語源になった話です。
賈島(かとう)は科挙(かきょ)の試験を受けるために都に行き、
驢馬に乗りながら詩を考えていると、
「僧は推(お)す月下の門」という句を思いついた。
しかしその句の「推す」を「敲(たた)く」のどちらに
すべきか決められずに悩んでいるうちに、
うっかり政府の高官である韓愈(かんゆ)の一行にぶつかってしまった。
賈島が、非礼にぶつかってしまったにもかかわらず、
「推す」と「敲(たた)く」のどちらが良いかと、韓愈に尋ねた。
韓愈は怒ることなく「敲くにした方がよいでしょう。」と言い、
二人はそこから意気投合して、詩について語り合った。
(少し意訳しています。)
【唐詩紀事・巻四十】
まだ受験生である賈島が、当時政府の高官であった韓愈との出来事です。
この話から、詩文の字句や文章を十分に吟味して
練りなおすことを意味する語として、今も良く使われています。

教室で作った五言絶句を詩箋に書いているところです。
つまり、推敲を重ねた結果を記しているのです。
この人は、この日初めて漢詩を学び、その日のうちに第一作目ができました。
全くの処女作です。
漢詩は、ただ漢字を並べるだけでは詩として、認められません。
平仄という発音や、押韻と呼ばれる、同じ仲間の音を持った漢字を、
決められたところに配さなければなりません。
その上、使われる単語が深い意味を持ち、先人たちの詩において、
いかに使われてきたのかが、大切です。
こう聞くと、もう推敲どころか、
作詩をやってみようという気すら失せるでしょう。
大丈夫です。
規則を理解するまでは少しだけ大変です。
推敲している時間は、時には辛く、また、時には楽しくて仕方ありません。
しかし推敲を重ねていくうちに、
詩の世界に深く入り込み、楽しくも無く、辛くも無い、作詩三昧の境地に至ります。
限りなく快感です。
多くの文人たちが楽しんだ世界です。
最初は、パズルのように組み立てて作る方法もあります。
しかし、やがては多くの詩を鑑賞することの大切さが見えてきます。
文人趣味臥遊では、漢詩を作ることも楽しみの一つです。



皆さん、この日に初めて作詩した作品です。
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