・夕暮れの雑木林・

立原正秋の小説には雑木林に住んでいる主人公が多い。



冬の雑木林の夕暮れは寂しい。
乾いたつめたい空気が、葉の無い枝先を揺らし、
足元の深く積もった落ち葉を掃いていく。



ほとんど色のないこの雑木林を、夕日が一瞬だけ茜色に染める。

寂寞とした都会の人ごみの中ですれ違う、
見知らぬ人にときめきを感じる時のように、ほんの一瞬である。
数分後には何も無かった様に、
また彩度の低いモノトーンの世界が闇に埋もれていく。

雑木林の冬。

何も無い、殺風景な世界のようで、
暮らせば其処にも繊細な変化を感じることができるようになる。
雑木林に主人公を置く、作家のアイデアは判らないでもない。

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