・夕昏・

花も草もありませんが、先日私の文房から見えた夕日がとても綺麗だったので紹介することにしました。



この夕焼けを描くのはとても難しいのです。

数秒単位で変化する雲や色彩、肌寒い風、乾いた木々の葉が擦れる音、
そして、はるか向こうに見える人々の暮らしの、灯りから感じるぬくもり・・・

全てを無意識に取り込みながら、夕日を眺めているからこそ、
あのなんとも言えない感動になると思うのです。

この日はまだありました。

足元からは,まだ明るいのに、もうこおろぎの声が。
日の暮れるのを待ちきれず、遠くから聞こえる雄鹿の野太い声と、
それに答えるように,家のすぐ裏から雌鹿の切なく甲高い声も木霊し合います。

そして日没と共に収まる毎日のように聞こえる烏の声。
秋の夕暮れのほんの僅かなタイミングでしか聞くことが出来ない音の重なりです。
なんて悲しい夕暮れなのでしょう。麓の人々の暮らしの灯りすら、悲しく見えます。

仮に夕日が描けたとしても、五感で感じた夕暮れを表現するのは、とても困難です。
筆を執るのはやめました。そしてあと数分、生駒の峰に太陽が沈むまで眺めることにしました。



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