・紅葉の始まり・
雑木林には楓の木も多くあります。
しかし、楓はそれぞれの木によって紅葉の鮮やかさが違います。
その中に、紅葉が一際鮮やかな、私のお気に入りの楓があります。
その木の下に潜り込み、見上げました。

日の光を受けようと精一杯四方に伸ばした楓特有の枝は、
先に向かうにつれ細かく分かれ、他の楓の半分くらいの大きさしかない細やかな葉が
細密なモザイクのように詰まっている、その中へと消えていきます。
この枝の線も好きです。
心を鎮めて、筆をまっすぐに立て、息を止めずに肩と肘を使って幹から枝先へすぅーと引く。
気持ちが良いのです。
そしてその枝先に、小さな紅葉を見つけました。
まだほとんどの葉が萌葱色のままなのに。
今年はまだ霜が降りていません。
しかし冷たい夜露はこの楓の葉を毎夜濡らし、紅葉を促しています。
毎年のことですが、小春日和を喜びながら、霜が降りるのを待ちわびています。勝手なものです。
もう一つ。クヌギの木にへばり付く様に藤がまっすぐ上へ昇っています。
そしてその先で、クヌギより一足先に黄色く紅葉していました。

どうも藤は勝手者です。
背の高い木を見つけては、その木の何十倍もの速さで絡みつきながら上へとのぼり、
そこでむやみやたらに蔓延らせ、軒を借りて母屋を奪う勢いです。
そしてさっさと色づき、葉を落とし、早春にはその高いところから、種を四方八方へと飛び散らかします。
そして晩春には母屋の軒を借りて、綺麗な花を咲かせ、人目を引きます。
母屋のクヌギは地味な花なのに・・・・

足元の枝もこんなに綺麗に揺れていました。
それも一枝だけ。
藤の紅葉に、今日は目を奪われています。
私も勝手者です。
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