四季の草花

「ディア・ライン(deer line)」

deer とは鹿。
私の暮らしている奈良では1,000年以上も前から、
人と鹿は一緒に暮らしています。
柵も、檻も無いのに争いはほとんど起こりません。
お互いを尊重している結果です。

人と人は大きな陸地に国境という線をそれぞれの都合で勝手に引き、柵や壁を築きました。
だから争いが始まりました。

今から20年前。
奈良公園一帯でシルクロード博覧会が開かれました。
1,000年以上の歴史のなかで、初めて多くの人が鹿の領域に押しかけました。
その結果、鹿は暮らしに不自由な山中に逃げ込み、
それまで、自然のバランスが取れていた里山が荒れ始めました。
鹿に責任はありません。

10年くらい前から、山居の周辺にも鹿が住み始め、
今では、昼間でも見かけることがあります。



山居の庭の木です。

手前には梅の木が2本。
奥には紅葉の木が見えます。
よく見てください。地面から決められた高さまで
葉はきれいに揃ってありません。

「ディア・ライン」です。
鹿の口が届く高さで、彼らの主張するテリトリーです。
自然の世界には、高さにも境界線はあるのです。

彼らの主張を受け入れるには、
「ディア・ライン」より下の木や草は全て網で囲う必要があります。
人の主張するテリトリーです。

うっかり主張を忘れるとご覧の通り。



数年前から清楚な花を咲かす、7年かけて育てた鉢植えの笹百合が一晩で軸だけに。
主張しなかった私の責任です。



鹿にかじられた庭の黄檗(きはだ)の木です。
黄檗といえば 大和の伝統薬(胃腸薬)「陀羅尼助」の原料です。

鹿も生き物。

人との共存でストレスも溜まり、胃潰瘍でも?
しかし鹿は「ディア・ライン」より上は食べずに、私のために残してくれています。

「無為自然」老子に書かれている言葉です。
自然と同化し、自分の存在意識すら失せる・・・・
庭を食い荒らす鹿に腹を立てている私を見て、
仙界で老子様が笑っているのでしょうね。

そういえば寿老人(南極星人)のお供は鹿でした。

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