・冬の落葉樹その1・

秋まで纏っていた葉は、冬の寒さの訪れと共にすべてを落とします。
しかしそれは、春の芽吹き準備の始まりでもあります。
自然を描く者にとって、冬の落葉樹を観察することはとても大切です。

葉で隠されていない枝を記憶することで、
葉の茂った状態を描くことが、容易になるのです。
暮らしの中で、眼に留まったいくつかの木を紹介します。



枝垂桜です。もちろん自生しているものではなく、
植えられたものですが、かなりの古木になっています。

周囲の木との間隔があるため、バランスよく四方に枝が張り出しています。
枝先はまっすぐ下に垂れずに、意外と外に張り出しているようですね。



枝垂柳です。桜とは違い、落葉しても枝はしなやかに垂れています。
しかし枝のほとんどは上に伸び、枝先の細い部分だけが、
細やかに枝分かれをして、下に垂れていることが判ります。

緩やかな風にも、枝はなびいています。桜と柳の描き分けのポイントです。
どちらの木も、剪定されていない木なので、とても貴重な資料となります。



薄暗いシルエットとなりましたが、楓です。
やはりこの木も、全く剪定はされていません。

枝先はかなり細やかに分かれていますが、下に垂れることはありません。
また、真ん中に幹が通ることなく、幹の部分から枝先までバランスよく枝分かれをしています。



桐です。梧桐(あおぎり)とは全く違う種です。
箪笥や琴、道具などを入れる小箱など、製材された桐の木は良く見かけますが、
山に自生している自然の姿のままの、桐の木です。

地上から5メートルくらいまでは、直幹で立ち上がり、
そこから少しずつ枝分かれを繰り返します。
しかし、今までの木とは違い、枝先になってもさほど多く枝分かれはしていません。
枝先に黒く見えるものは、葉ではなく、朽ちた桐の実です。

また、画像では判りませんが、黄土色のビロードのような皮に包まれた蕾が、
やはり枝先に付いています。
この蕾が咲くと、着物の紋にある「五三の桐」「七五の桐」となるのです。
山水画には、多くの木々が描かれています。

良く見てください。良識ある作者は、きっと描き分けているでしょう。
それぞれの木は、あるべきところに生えていなければならないのです。それが自然の姿です。

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