座 臥遊

茶味清風そして通仙

ある日の文人趣味臥遊、高円山松知菴サロンを紹介します。

さて、ここはどこでしょう?

すぐに言い当てればかなりの「奈良」通です。

正解は、奈良の高円山にある、大文字送り火の跡です。
右端の奥に見える三角の山は御笠山で、その麓に広がる森は奈良公園です。

目前に点在するのは「大」の字にかたどった烽火の燃え跡。
立っている場所は、「大」の字の一画目の最初のところ。
つまり、「大」の字のてっぺんです。

奈良市全域から一望できる絶好の位置に設けてあるので、
言い換えれば、その「大」の字から眺めると、
奈良市全域が一望できるということです。

毎月サロンが行われている高円山松知菴は、
この「大」の字のすぐ裏手にあります。

サロンがあったこの日は、あまりに天気が良かったので、
茶器を提籃に詰め込み、皆で登ってきました。
とはいうものの、かなりきつい斜面を登らなければなりません。
杖を手にしているのは、そういうわけです。

秋が日々深まり、すこし肌寒い季節になっていますが、
山登りの後はさすがに少し汗ばみ、
吹き上げてくる風が、心地よく感じます。

早速、提籃を開いて、茶を淹れる事にしましょう。



最小限の道具ですが、これで十分です。
ただ、山の頂には川は流れていません。
仕方なく、湯だけはポットに入れて持参しました。



中国唐代の文人である盧仝(ろどう)は、
「茶をたっぷり喫したあとには清風が起こり、
その風に乗って、仙人のところまで去っていく」といっています。

まずは清風を肌で感じ、そして茶のおかげで、
まさしく胸中に清風が吹き起こります。

また盧仝(ろどう)は、茶をたくさん飲むと「仙霊に通じる」とまでいっています。
まさしく、ここは天上界にある仙人の住むところ。
俗塵から遠く離れ、すぐ傍で幽鳥が真如を聾しています。

山水画の多くに、茶器を携えた文人が登場します。
大自然の中に身を置き、茶を喫することが、
茶の真味を知ることです。

作法にとらわれ、周りに気遣いながら頂いていては、
味わうことのできない文人茶です。

皆さんも一度この茶味を体験してください。
その後は、たとえ都会の真っ只中のちいさな部屋でも、
一幅の山水画を掛けることで、
大自然の中で頂く一碗の茶となりうるのです。

この仙霊に通じる茶をご希望の方は、申しつけください。
お伴させていただきます。
ただし、スニーカーと杖は持参のこと。

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